ウクライナとロシアに平和をー即時停戦と侵略の中止・撤兵を求めるアピールー
2月24日、ロシア軍は国境を越えてウクライナに侵攻した。そして開戦から百日を超えた現在では、この戦争は長期化の様相を呈している。 この間、両国の兵士とウクライナの民間人が多数犠牲となり、多くの都市が破壊された。破壊された建物のなかには図書館、博物館、学校、劇場等の文化・教育施設も含まれており、まさに文化、教育が破壊される状況が進行している。一刻も早くこの状況から脱し、人命と都市、文化と教育を守るため、両国政府には停戦交渉の即時開始が、日本とその他の国々には停戦の仲介が求められている。
2月以降、世界的に反戦の市民運動が広がっているが、図書館九条の会はこれらの運動に連帯し、侵略行為の即時停止、ロシア軍の撤退、両国政府による停戦交渉の開始を要求し、ウクライナとロシアに平和が戻ることを希求する。
「戦争で最初に犠牲になるのは真実」だと言われるが、今回の戦争でもさまざまなフェイクニュースが流されている。他方真実を伝えるため戦場から情報を発信し続けるジャーナリストも少なくない。
図書館は市民が情報にアクセスする拠点として、幅広い情報を蒐集して提供し、真実が犠牲にならぬようその機能を発揮したい。この間、全国の図書館ではウクライナ関連の資料が数多く提供された。平和コーナーをつくり関連資料を展示した図書館もあったが、それらのコーナーにはウクライナの本だけでなくロシアの本も並べられていた。戦争の中だからこそ双方を理解しようとする知的活動を、図書館は助けてきた。
今、ウクライナ戦争を奇貨として「敵基地攻撃能力=反撃能力」の保持や「核共有」を進めようとする一部勢力の言動に、図書館九条の会は反対する。「敵基地攻撃能力」とはまさに今ロシア軍がウクライナでおこなっている行為そのものであり、「核共有」は日本の核武装化である。
アジア・太平洋戦争でアジア諸国を侵略した日本は、その「反撃」として、空襲で多数の人命を失い、国土を荒廃させ、原子爆弾の被害を受けた。そして、その悲劇を繰り返さぬため戦後平和憲法を制定した。
今の状況で強調されるべきは「反撃能力」や「核共有」ではなく、憲法九条の精神である。戦争の放棄と戦力の不保持を明記した九条の精神こそが、今起こっている戦争に対抗する力であり、図書館九条の会はこれを力に、平和のために声をあげる人々と連帯して行動する。私たちはウクライナやロシアにも戦争に反対する人々がいることを知っており、この人たちと固く結びついた日本のそして全世界の人々の声が結実し、平和が戻る日が来ることを確信する。
2022年6月
図書館九条の会